プロポフォール使用時の呼吸商の測定

筑波大学臨床医学系麻酔科
○斎藤歌織、斎藤重行、渡辺和宏、豊岡秀訓

 プロポフォールを使用した時の酸素消費量、炭酸ガス産生量の変化は注目されていない。プロポフォールは溶媒にイントラリピッドと同様な脂質が用いられており、代謝に与える影響が予想されたので、ベッドサイドでCS/3(Datex社)を用いて酸素消費量、炭酸ガス産生量、呼吸商を測定し、プロポフォールの影響を調べた。
【対象および方法】体表手術患者(男3、女6、平均年齢38歳、身長160±7cm, 体重56±6kg)を対象としました。半閉鎖回路の麻酔器を用い、サイアミラールで導入し、酸素、空気セボフルラン麻酔下に導入後1時間以上経過した後、プロポフォールを4mg/kg/minで投与し、投与開始後15分以上経過してからの値を測定した。代謝の測定は5分ごとに求められる値を30分間の平均として求め、プロポフォール投与30分前をコントロールとし、投与後15分経過後の30分間をプロポフォール投与下として測定した。
【結果】プロポフォール投与下の酸素消費量、炭酸ガス呼出量にはコントロールと差が無かったが、呼吸商の値では0.899±0.04から0.795±0.04に低下した(p<0.05)。
【考察】ベッドサイドで代謝状態を測定する事は容易ではなかったが、今回用いたCS/3代謝モニターは5分ごとのデータを直ちに算出し呼吸商の変化を測定する事ができた。
 本研究は、プロポフォール投与で呼吸商が低下する事を示し、代謝モニターの可能性を示唆した。



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